東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻

第12期修了制作展


からっぽの横 2018年/104分/ヨーロピアンビズタ/LCR/カラー/DCP

4人が互いに関係を崩し合いながら過ごす、バラバラの生活。物語男は、身近な人間関係を小説に書く。以前それで身近な人を傷つけたけど書く姿勢は崩さない。彼に惹かれたホテル女は、自分のことを書いて欲しいと願いながらホテルで働く。夜勤男は、同棲中のホテル女の心が自分から離れたことに苦しみながら夜勤をこなす。旅女は、物語男に会うための旅に出た。私とのことを書き、私を傷つけた物語男に、会って確かめたいこと。

出演:田中佐季 塩見大貴 紗都希 小松勇司 諏訪敦彦(特別出演)
監督:川上知来 / プロデューサー:渡邊健悟 / 脚本:李奈媛 / 撮影:小海祈 / 照明:祢津尚輝 / 録音:魚野智生 / 美術:云丹 / 小道具:堀千夏 / 編集:?井美沙



著名人コメント

Na Na Na Na Na、この映画一体いつの時代の映画Naんだ!
駄目な奴らと不幸な奴らのオンパレードじゃないか!
俺も昭和の出来損ないだった頃、こんな類の映画ばかり観て悦に入っていたのを思い出しちまった。挙げ句の果て、今やこんな半端者だ。
この映画、イマドキのガキどもには絶対受けないから、覚悟しておけ。
受けない映画を作るっていうのがいかに快感かっていうこと、せいぜい楽しむんだな!そしてこんな映画を作った川上は、己が世間のハグレ者なんだということをよおく自覚しろ。渡邊頼んだぞ! 大橋には悪いが、エンディング曲は絶対ジャックスに差し替えてくれ!この映画には、早川義夫の歌が必要なんだよ! この映画を観てからというもの、俺の耳は、『からっぽの世界』がずっと鳴り響いている。どうしようもないんだ・・・。
ところで、肝心の映画の結末は一体どうなってんだ。
テメエらはっきりしろよ、自分の映画に責任持てよな!

桝井省志(映画プロデューサー)


 男女関係がさしたる理由もないのにこじれにこじれ、男も女も進退窮まってしまう…といった光景を川上はいつも好んで題材にする。今作でもそれは絶好調で、ひとりひとりは特段まずいことなどないはずの二人が、いっしょになったとたんこれでもかと自らの不幸を全開させる。そしてみな一様にガックリと肩を落とし、「はァ」と深いため息をつきながらトボトボと歩いていくのだが、ふと思った。これは世界の終わりということなのか。

黒沢清


 物語を紡ぐことができない「物語男」は、過去の罪に規定されて現在を生きる(書く)ことができない。同じ過去によって現在を失っている「旅女」は世界を浮遊するように彷徨っている。ひとつひとつの映像がシンプルなエピソードによって刺激され、その空間に発生する登場人物の感情と俳優の身体を冷静に位置づけながら、感情のささくれとともに変えようにも変わらない頑丈な現在が浮かび上がる。「物語男」の停滞した生活にどうでも良い存在として関わる「ホテル女」へ。彼女の空虚な現在にどうでも良い存在として関わる「夜勤男」へと、映画の主人公がリレーし、世界の視点が切り替わってゆく構成を通して、映画は何事も救済しない現在を、重層的なエコー(響きあい)として描くことを発明する。そこでは救いのなさが、救いとなるのだろうか。過去を清算し、誰かを救うかもしれなかった謝罪の機会は失われた。モラルがないこと、救いがないことこそが救いなのだ、という安吾のように、見せかけの救いに背を向けて取り返しのつかない現在を見つめる視線は、清々しく澄んでいる。

諏訪敦彦


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メインスタッフコメント

監督:川上知来

人々の暮らしの隅にいて、自分が居ていい場所を見つけられずにいる人を撮りたくて制作しました。その様な人が持っていたはずの繋がりはどうしたら壊れずにあれたのだろう、ということは撮り終えた今でも考えています。


プロデューサー:渡邊健悟

「学生映画は拙いもの」。そう言って切り捨てられるだろうか?そこにはただ映画が好きな阿呆どもの若さが、自由が、情熱が、高い純度で込められている。スタッフロールの一人一人を見てほしい。これは僕らからの挑戦状だ。


脚本:李奈媛

からっぽの横にとどまっているひとりひとりのこと。私は大好きです。皆さんも大好きになってください。


撮影:小海祈

物語に合うよう、暗く冷たい、色の限られた世界を意識してルックを作りました。監督と話し合った結果ほぼ全てのシーンを固定の引き画のみで撮影しています。俳優の芝居と場所の持つ雰囲気の全てを感じ取ってもらえればと思います。

照明:祢津尚輝

見えるものと見えないもの。見えないものの中に本質が隠れています。照らされていない世界に目を凝らして観てください。


サウンドデザイン:魚野智生

この映画を観て何かを感じていただければ幸いです。


美術:云丹

4種類の主色を採用する事によって4人の主人公の性格及び彼らの運命の展開を導きました。単独シーンの精致さと華麗さを強調していませんが、全体の美術の風格を統一させました。美術でストーリーを深め、人物の内心感情を表現したいです。


編集:?井美沙

「からっぽ」の先に見えるものは何か。それぞれの人物の、空白な感情に寄り添いながら、編集をしました。実際に、映画館で、この物語の空気を感じてほしいです。


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スケジュール・劇場案内

上映スケジュール・チケット料金


2018.3.3(SAT)-3.9(FRI) @渋谷ユーロスペース
[ 上映スケジュール ] 21:00上映開始
3月3日(土)『向こうの家』
3月4日(日)『からっぽの横』
3月5日(月)『小さな声で囁いて』
3月6日(火)『からっぽの横』
3月7日(水)『向こうの家』+『森のかたみ』
3月8日(木)『小さな声で囁いて』
3月9日(金)『森のかたみ』
*会期中舞台挨拶・トークあり
[ チケット料金 ]
前売券 1日券 \700(税込)
当日券 1日券 \900(税込)
フリーパス券 \1,500(税込) *会期中何度でも入場可能

主催:東京藝術大学大学院映像研究科


劇場案内


会場:渋谷ユーロスペース
アクセス:渋谷区円山町1-5KINOHAUS 3F          
      (渋谷・文化村前交差点左折)
会場ウェブサイト:http://www.eurospace.co.jp/
お問い合わせ:03-3461-0211




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