東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻

第12期修了制作展


小さな声で囁いて 2018年/110分/16:9/5.1ch/カラー/DCP

11月初めの秋、付き合って5年が経つ沙良と遼は熱海旅行に来ている。有給休暇を使った3泊4日のささやかな旅行だ。遼は沙良と結婚する準備をしているが、沙良は遼と結婚をしたくない。なぜ結婚をしたくないのか自分でも分からない沙良は、旅先でも遼を避けて行動している。二日目の午後、沙良は一人で室内プールに行った。そこで背中に大きな傷を負った山崎という男に声をかけられる。

出演:大場みなみ 飯田芳 山崎陽平 中野目理恵
監督:山本英 / プロデューサー:佐野大 / 脚本:山本英・山崎陽平 / 撮影:李子瑶 / 照明:薛白 / サウンドデザイン:織笠想真 / 録音:三好悠介 / 美術:加藤瑶子 / 衣装:栗田珠似 / 編集:丹羽真結子 / 音響効果:村貫誠



著名人コメント

誰もがよく知っている熱海が、異国の土地に変貌する。
台詞にもあるように、そこはイタリアだ。
まだ十分に若い、だがもうすごく若いわけではない恋人同士の男女も、どこか日本人であることから逃れようとしているかに見える。
これは『イタリア旅行』のリメイクなのだ、そんな予感が頭をよぎる。
もちろん、山本英は1953年のロベルト・ロッセリーニではない。
2017年に撮影された日本映画として、この作品は端正な瑞々しさと奥ゆかしい大胆さを身に纏いつつ、ここにある。
『イタリア旅行』のあの奇跡のラストシーンとは全く異なった、だが同じくらい唐突で愛すべきラストショットが、あなたを待っている。

佐々木敦(批評家)


 行き当たりばったりに熱海を旅行するカップル。ジャンルとしては観光映画と言っていいこの分野が、ここまでの可能性を秘めているとは思わなかった。おそらく、監督の抜群のセンスのよさがこの映画を驚くべきスリリングなものに仕立て上げているのだろう。そのことは1カットごとに伝わってくる。つまりそれは、山本による熱海の思い出と考察…まるで『フェリーニのローマ』じゃないか! だとしたら凄い。

黒沢清


 観光地は、主人公のカップルたちを彼らの世界から切り離し、互いの存在へと向かいあわせる舞台である。同時に、観光というもう一つのフィクションが働く書き割りであり、彫刻や、山崎の傷や、地元の人々といった映画の外部世界の現実と物語を出会わせる装置となっているという点で、これは超現代版の「イタリア旅行」であると言えるかもしれない。眠りという宙吊りの場所で、危機を回避しつつ、彼女は「なぜ他の人ではなく、この人であるのか?」という深い問いを増殖させ、男はさして何もすることがない無為の時間の中で、必要のない未来の算段で時間を潰してゆく。一見無為な時間がただ過ぎていくかに見えるイメージの背後で、深い溝が広がってゆく演出は見事だ。目の前の不機嫌を取り繕うだけの男の謝罪などもはや届かない。二人が、さまよい込んでゆく森が、いつのまにか詩的な空間にダイナミックにねじれる変換にも、堂々とした映画構成の手さばきを感じる。神のいない世界で「イタリア旅行」の奇跡は起きるのだろうか?

諏訪敦彦


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メインスタッフコメント

監督:山本英

旅先で見かけるあの人達は誰なのだろう。
楽しそうにしていたり、寂しそうにしていたり、同じ場所で同じ時間を過ごしているのに、僕は彼らのことを全く知らない。
そんな知らない誰かのことを思い、この作品を作りました。


プロデューサー:佐野大

キャスト・スタッフ一同、熱海で12泊13日の合宿をして撮影しました。
制作中は想定予算に収めるため、日々数字と戦っていました。
どうかまどろみながらでも、約二時間の熱海観光3泊4日にお付き合いください。


脚本:山崎陽平

みなさんが、いろいろな喋りかたで、いろいろなことを話しているので、
楽しかったです。


撮影:李子瑶

初島での撮影が大変でした。

照明:薛白

撮影終わった後、また熱海に何回も行きました。


織笠想真

今作は、録音部現場応援からポスプロ音響効果など、手伝って頂けた方々へは感謝の気持ちでいっぱいです。また、それ以外のスタッフ共々完成へ向けた道のりは、とても心地の良い時間を過ごせた作品でした。


美術:加藤瑶子

「熱海」に漂う哀愁とキラメキが、画とヤシの木から出たら嬉しいです。 美術いらずのイカした場所がATAMIです。


衣装:栗田珠似

熱海にきた浮かれてない2人を見て欲しいです。


音楽・音響効果:村貫誠

熱海楽しかったです。。。


編集:丹羽真結子

編集によって何十、何百通りにもなり得た可能性がありました。
でも、わたしたちが伝えたかったのはこの物語だけでした。


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スケジュール・劇場案内

上映スケジュール・チケット料金


2018.3.3(SAT)-3.9(FRI) @渋谷ユーロスペース
[ 上映スケジュール ] 21:00上映開始
3月3日(土)『向こうの家』
3月4日(日)『からっぽの横』
3月5日(月)『小さな声で囁いて』
3月6日(火)『からっぽの横』
3月7日(水)『向こうの家』+『森のかたみ』
3月8日(木)『小さな声で囁いて』
3月9日(金)『森のかたみ』
*会期中舞台挨拶・トークあり
[ チケット料金 ]
前売券 1日券 \700(税込)
当日券 1日券 \900(税込)
フリーパス券 \1,500(税込) *会期中何度でも入場可能

主催:東京藝術大学大学院映像研究科


劇場案内


会場:渋谷ユーロスペース
アクセス:渋谷区円山町1-5KINOHAUS 3F          
      (渋谷・文化村前交差点左折)
会場ウェブサイト:http://www.eurospace.co.jp/
お問い合わせ:03-3461-0211




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