東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻

第12期修了制作展



2018.1.27(SAT)-28(SUN) @東京藝術大学横浜校地馬車道校舎
2018.3.3(SAT)-3.9(FRI) @渋谷ユーロスペース


卒業制作コメント

他者との意思の疎通はかくも困難で、現状を認識し世界を理解することは、耐えがたい苦痛を伴ってしか成し得ない。それぞれにスタイルの異なった4作品が共通して掲げるテーマはそれだ。しかも作者たちは、その困難や苦痛にじっくりと時間をかけて耐え、安易な逃走を自らに禁じている。つまり、この4作品のどこにも“誰にも頼らず、たったひとりで自らの意思を貫く”人物は登場しない。そのような古典が楽しかった時代は彼方に過ぎ去った。それでも映画は娯楽であることが可能なのだろうか、それが4人の前に立ちはだかる課題である。彼らは正真正銘『ヒストリー・オブ・バイオレンス』以降の世代なのだ。

黒沢清


一見何の変哲も無い風景にカメラが向けられているというのに、そこに映し出される四つの世界の相貌はまるで違っている。同じように男が、女が、子どもたちが映し出されているというのに、彼らはまるで四つの違う惑星の住人のようでもある。つまりは四つの映画がそれぞれ独自の映画的時空を成立させたことによるのであるが、しかし、「取り返しのつかない過去」と「謝罪」というモチーフが共通して見え隠れするのはなぜだろう。しかもその謝罪は決して果たされることなく、過去を乗り越えることも、関係を修復することも、他者を救うことも永遠に奪われてしまう様がそれぞれに描かれる。たとえ一本の映画を費やそうとも、世界は微動だにしない頑丈な地盤となってそこにある。それは絶望だろうか? いや、むしろ喜びがある。見せかけの救済や解決にはキッパリと背を向けて、映画によって触れられる世界に、自分自身の方法で触れることができた喜び、何も変わらないが世界はそこにあるという発見。そして彼らの眼差しは静かに、微かに、しかし果敢に進んでゆく。新しい世界=映画との出会いがまだ可能であることを信じて。

諏訪敦彦


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上映作品

向こうの家 2018年/82分/アメリカンビスタ/5.1ch/カラー/DCP

自分の家庭は幸せだ、と思っていた高校二年生の森田萩(17)。しかし父親の芳郎(49)にはもう一つの家があった。「萩に手伝ってもらわなきゃいけないことがある」芳郎の頼みで、萩は父親が不倫相手の向井瞳子(36)と別れるのを手伝うことに。自分の家と瞳子さんの家、二つの家を行き来するようになった萩は段々と大人の事情に気づいていく……

出演:望月歩 大谷麻衣 生津徹 南久松真奈 円井わん 植田 まひる 小日向 星一 でんでん
監督:西川達郎 / プロデューサー:関口海音 / 脚本:川原杏奈 / 撮影:祢津尚輝 / 照明:小海祈 / 美術:古屋ひな子 / サウンドデザイン:三好悠介 / 編集:王晶晶 / 音楽:大橋征人

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森のかたみ 2018年/ 67分/シネマスコープ/5.1ch/カラー/DCP

12年前の事故以来、秀人は弟・雅人を避けるようになっていた。数年ぶりに故郷を訪れた秀人は、ここにいるはずのない雅人の姿を見る。「あの日のこと、覚えてる?」雅人はそう秀人に尋ねると、秀人を事故の場所へと連れて行く。――忘れている記憶と、覚えているつもりでいた記憶。秀人は12年前のことを、徐々に思い出していく。

出演:井上翔太 清水尚弥 谷口蘭 大沼百合子 宍倉暁子
監督:大杉拓真 / 脚本:中野みづほ / プロデューサー:井前裕士郎 / 撮影監督:薛白 / 照明:李子瑶 / サウンドデザイン:内田雅巳 / 音楽:大橋征人 / 美術:王慧茹 / 衣装:栗田珠似 / 編集:戴周杰

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小さな声で囁いて 2018年/110分/16:9/5.1ch/カラー/DCP

11月初めの秋、付き合って5年が経つ沙良と遼は熱海旅行に来ている。有給休暇を使った3泊4日のささやかな旅行だ。遼は沙良と結婚する準備をしているが、沙良は遼と結婚をしたくない。なぜ結婚をしたくないのか自分でも分からない沙良は、旅先でも遼を避けて行動している。二日目の午後、沙良は一人で室内プールに行った。そこで背中に大きな傷を負った山崎という男に声をかけられる。

出演:大場みなみ 飯田芳 山崎陽平 中野目理恵
監督:山本英 / プロデューサー:佐野大 / 脚本:山本英・山崎陽平 / 撮影:李子瑶 / 照明:薛白 / サウンドデザイン:織笠想真 / 録音:三好悠介 / 美術:加藤瑶子 / 衣装:栗田珠似 / 編集:丹羽真結子 / 音響効果:村貫誠

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からっぽの横 2018年/104分/ヨーロピアンビズタ/LCR/カラー/DCP

4人が互いに関係を崩し合いながら過ごす、バラバラの生活。物語男は、身近な人間関係を小説に書く。以前それで身近な人を傷つけたけど書く姿勢は崩さない。彼に惹かれたホテル女は、自分のことを書いて欲しいと願いながらホテルで働く。夜勤男は、同棲中のホテル女の心が自分から離れたことに苦しみながら夜勤をこなす。旅女は、物語男に会うための旅に出た。私とのことを書き、私を傷つけた物語男に、会って確かめたいこと。

出演:田中佐季 塩見大貴 紗都希 小松勇司 諏訪敦彦(特別出演)
監督:川上知来 / プロデューサー:渡邊健悟 / 脚本:李奈媛 / 撮影:小海祈 / 照明:祢津尚輝 / 録音:魚野智生 / 美術:云丹 / 小道具:堀千夏 / 編集:?井美沙

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劇場アクセス・お問い合わせ

期間によって開催場所が異なりますのでご注意ください。

横浜会場

東京藝術大学横浜校地馬車道校舎 他



2018.1.27(SAT)-28(SUN)

会場:東京藝術大学横浜校 馬車道校舎3階大視聴覚室(103席)
アクセス:横浜市中区本町4-44(みなとみらい線「馬車道」駅5,7出口すぐ)
料金:入場無料・予約不要
主催:東京藝術大学大学映像研究科 横浜市文化観光局
連携:フォト・ヨコハマ2018

渋谷会場



2018.3.3(SAT)-3.9(FRI)

会場:渋谷ユーロスペース
アクセス:渋谷区円山町1-5KINOHAUS 3F (渋谷・文化村前交差点左折)
会場ウェブサイト: http://www.eurospace.co.jp/
お問い合わせ:03-3461-0211
料金:前売券 1日券 \700(税込)
   当日券 1日券 \900(税込)
   フリーパス券 \1,500(税込)*会期中何度でも入場可能
主催: 東京藝術大学大学院映像研究科
*連日21:00から上映
*会期中舞台挨拶・トークあり


お問い合わせ

HP:http://geidai-film.jp/
Instagram: @tua_films
お問い合わせ: opengeidai@gmail.com


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